北海道観光についていろいろと考えてみた

僕は、
「自然は一流、施設は二流、料理は三流、サービスは四流、関係者の意識は五流」
と言われる北海道の札幌近郊で生活しています。


住んでいるだけに北海道がより良くなってほしいと常日頃思っています。特に北海道経済が良くなってほしい。僕自身、無職で求職中なので、北海道経済の活性化を切に願い、かつ、そこに寄与できるものなら何らかの形で寄与したいと思っています。


北海道経済を活性化するためには、北海道の良い部分、豊富な自然環境や食材を活かすべきでしょう。しかし、食や自然などで大きな資源を持ちながらそれを活かし切れていないせいか、有効求人倍率は全国平均を下回っています。


北海道の豊富な自然環境や食材を活かすためにはどうすればいいのか。その問題解決としてタイトルにある通り北海道観光について考えてみました。


北海道の目玉産業である観光。その資源となりうる自然環境と食材は、札幌都市圏よりも地方に多く存在します。それらを観光資源として活かすためには当然のことながら人が必要です。しかし人は、地方よりも都市に集中しています。観光にはもってこいの自然と食材があるスポットには寂れた商店や古くさい旅館、一昔前にできたテーマパークの廃墟しかない場所もたくさんあります。お金がないから廃れたのか、人がいないから廃れたのか、と言われればどちらもないから廃れたのだと思います。しかし、人がいればまだなんとかなる。


北海道の地方都市の中でも、旭川旭山動物園や、ニセコのリゾート地は北海道の中で観光で成功していると言えるでしょう。旭山動物園の名誉園長小菅正夫さんやオーストラリアの方々をニセコに誘致したオーストラリア人のロス・フィンドレーさんはこれら観光地の成功の立役者です。


それでは、こういったことを考える僕は、地方へ行って少しでも役に立とう、という意欲があるかと言うと、今のところ全くありません。北海道に住む身ながら、普段は札幌近郊で暮らし、休みに北海道観光でもしようか、というような気分です。北海道を盛り上げるべき北海道住民でありながら、気持ちは道外在住者と同じように「お客様」です。もしこれが、札幌にいる若い人たちの感覚なら、北海道の資源を活かし切って北海道経済を盛り上げることは土台無理です。


僕は、今まで接客業の仕事をしてきました。ホテルのフロントなどのような特別な接客業ではなくて、小売でアルバイトをしてきたわけですが、道内観光をすると、“なってない”と感じる部分は確かに多々ありました。


僕の接客のレベルが高い、などとおこがましいことを言うつもりはありません。僕なんか、とりあえず仕事中は、いやいや仕事以外でも「にこやか」にしているくらいしか能がありません。だから、無職なわけです。


しかし、接客レベルの高い方はたくさん見てきました。なのでせめて、そうゆう人たちのように「にこやか」でいよう、と見習いました。それから、接客をするときは何かしらサービスをしようと思っています。困っていることがないか聞いたり、自分の知っている情報を必要に応じて伝えたり、そうゆうことはしてきました。「お客様に感動を!」なんて大上段に構えてやっていたわけではありません。ただ、自分にできること、協力できることはないか探し、行う。そうすることが接客の仕事だと思っていました。


その観点からすると、札幌の接客業ですら怪しいレベルの接客はたくさんあります。ホテルのカフェや百貨店、デパートの店員さんよりも居酒屋や、ラーメン店、スープカレー店の方が良い接客だったりします。まあ、後者は、とりあえず「にこやか」で元気がよければ良い印象を受けるので接客としては簡単なのかもしれません。しかし、そもそも前者ではその「にこやか」すらない場合があります。接客業が無愛想でどうするんだ?と思います。きっとそう感じる観光客の方もいらっしゃるでしょう。


その「にこやか」ですらない方は、接客とはとりあえず「にこやか」でいることから、という意識がないのかもしれません。もしくは、仕事以外では「お客様」だから、そっちが自分の主体で、仕事は「仮面」のような意識なのかもしれません。気持ちは分からないではありません。いくら、きつい思いをして「にこやか」に良い接客をしても、薄給で激務ならば、いつしか笑顔も失われるでしょう。そうゆうものだと思います。


接客業の現場で働いていた者として思うのは、いくら良い接客をしようと、そして、多少リピーターの方が来られたとしても、給料も休日も少なく、正社員としての待遇もなければ、そんな自分を誇ることはできません。例えば、良い接客をしてお客様に感動を与えリピーターとして再度来ていただいたとしても、薄給で家族を養えず、また家族がいても苦労をかけ、さらに家族と一緒にいる時間も作れずでは、いつしか笑顔で仕事をすることが苦しくなってしまう。そうゆう部分もあると思います。そうゆう意味では「関係者の意識は五流」の関係者とは、接客業を生業とする会社の経営者の方も含まれるのかもしれません。


まあ、半分愚痴です。ホスピタリティーのある接客ができるかできないかで言うと、待遇はきつくても、できる人はできるし、できない人は例え良い待遇でもできません。そうゆう接客ができる方が例えいたとしても、待遇面で劣遇されていれば、その笑顔も消えてしまう、ということです。


僕は、ホスピタリティーのある接客ができるかできないかを左右するのは、半分資質で半分教育だと思います。資質があっても、教育がなければできないし、逆に、ある程度のレベルまでならば、資質に関係なく教育があればできるんじゃないかと思います。


しかし、資質のある人材を集めようにも、観光資源のある地方に人がいないのでは集めようがありません。それに、現状経営状態の厳しい道内観光業界で教育に力を入れることは難しいかもしれません。


僕が、解決策としていくつか思いついたことをとりあえず書いてみます。


まず、人を集めるには、「成功モデルを作りPRする」ことでしょう。都会の生活を捨ててまで、地方に来させるためには、その仕事に魅力がなければいけません。観光の世界で輝いている人を見つけ、その人に札幌へ来てもらって学生や求職者と話してもらう。その人が魅力的であれば、地方へ行こうと思う人も増えるでしょう。TVを使ってとりあげてもらうのでも構いません。もしくは、カリスマ性のある経営者がいらっしゃるなら、学生や求職者の方にその人やその人の経営する会社に憧れてもらうのも手です。


次に、観光業界の経営状態を下支えするには、北海道を観光特区とし、観光業に限り税制面を安くしたり、観光面に特化したインフラ整備を強化したりすることが考えられます。ただ、北海道のインフラというと、無駄な公共事業を思い浮べてしまいます。なので、まず中央政府へは地方分権を進めるよう強く要請し、北海道観光に必要なインフラ事業を北海道自身が決められるようにする。なおかつ、北海道内でも地方分権を進め、地方自治体で自分たちの町の事業を自分で決められるようにする。そうしなければ、その町の独自色を出した観光事業はできないでしょう。本当に必要かつ効果的な事業で企業と地元自治体が協力することもできないと思います。そうして町を魅力的にすれば、人も集まってくると思います。


鉄道、高速道路、航空路線など広い北海道で人や物を運ぶためのインフラはまだまだ必要です。観光や物流を考えたときに本当に今のシステムが北海道にとって最も効率的であるのか検討しなければいけません。グローバル、つまり世界のレベルから見てシステムが効率的かどうかを考えなくてはいけません。


話がちょっと脱線しますが、人によるサービスはそうそうグローバル化できません。ちょっと英語を話すとか、中国語、韓国語を話してみるくらいのものです。僕は人によるサービスをグローバル化する必要はないと思っています。なぜならその国、その土地ならではのサービスが観光には重要だと思うからです。日本人の場合は、日本人なりの思いやりや礼儀作法です。そこに地方色が出て、ローカルの面白味が出てくると思います。そこをうまく表現できないのに、英語や中国語、韓国語を話すために四苦八苦していては、肝心の日本の地方独自サービスがおろそかになってしまいます。


しかし、そのサービスに使われるシステム、交通システム、物流システム、通信システムなどの大きなシステムや、看板、パンフレット、ホームページなどの小さなシステムはグローバル化するべきです。店員が外国語を話せない代わりに、外国語で説明できる端末がそこかしこにある、とか、料理のメニューと一緒に、外国語で食材を解説するパンフレットを渡す、などです。これはアイデア次第でいかようにも工夫ができるので、官民あげて真剣に取り組むべきです。世界を見渡せば、観光に特化した都市では観光に適したシステムを日々見直し工夫していると思います。そうでなければ、世界中から観光客を集めることはできないでしょう。観光資源、つまりソフトのアピールの仕方から、それを見せるための快適なシステム面まで、しっかり工夫されているはずです。もしされていなければ、観光システムとして、北海道独自の最先端のシステムとなって、もしかすると海外で販売することもできるかもしれません。そこらへんは詳しくないので分かりませんが、要は、北海道のシステムはまだまだグローバルな視点で発展できそうだということです。


いろいろと考えてきましたが、つきつめて考えると、北海道に住む人間がどれだけ真剣に観光客を呼ぼうと思うか。これが重要だと思います。観光を頑張れば、北海道経済が良くなり、生活も良くなりますよ!と、北海道庁が自信を持って言えるかどうか。地方自治体も企業の経営者も自信を持っていえるかどうか。それが、道民の真剣さに結びつくんだと思います。北海道観光が自分の生活を楽にしてくれるんだ、という実感を道民が持てない限り、北海道観光事情は良くならないように思います。