アカシャ宇宙の叡智 ゲリー・ボーネル

ビュイック・ドライバー アカシャ宇宙の叡智 (超知ライブラリー)

ビュイック・ドライバー アカシャ宇宙の叡智 (超知ライブラリー)

ゲリー・ボーネル自叙伝の最新刊(最終刊?)です。
新次元の叡智、光の叡智とは時代が異なり、2000年代に入ってからの物語が展開されます。
勿論、ゲリーは少年ではなく中年です。
ゲリー中年・・・。


この物語は、「行って帰ってくる物語」の帰ってくる部分に当たります。
少年期に心に刻んだ数々の葛藤とケリをつけるために、ゲリーは故郷へと帰ります。
そこで偶然、永年の宿敵と出会い、その宿敵との戦いを通じてゲリーは少年時代の自分を解放していきます。
クライマックスでは、サイキックバトルが展開されます。
ファンタジー好きにはたまらない、アイテムの数々、技の数々が登場します。
実際自分が巻き込まれたらたまったもんじゃない話ですが・・・


ゲリーが故郷でこの人物と出会うのは宿命だったのでしょうね・・・
結局、この悪ですら、運命の織物を構成する糸のただ一本だったと、読み終わって感じます。


この物語では、最初の光から分かれた、「神のわけみたま」としての魂と、人間の関係が明かされます。
ゲリーが戦う悪も、この関係性のねじれから生じています。


その悪は、一番新しい歴史で、ナチスとして働いた存在でした。
嘘か真か、その判断は読者に委ねられるでしょうが、そこで語られている事は物語の筋とは別の、歴史的真実に触れるかのような驚きがあります。


しかし、そのような奇抜で、驚きと神秘的な知識で溢れた物語も、結末は非常に人間的であり、このシリーズを通して貫かれている、現実と神秘体験とのちょうどいいバランスを感じることができました。


ベンツに乗った中年の経営者の物語とは思えない程おもしろい話です。