力の使い所

映画「アンダルシア」を観てきました。
主人公の黒田という人は、男性性をこれでもか!というほど発揮していますが、銃をバンバン打ったり、アクションもあまりしません。
役柄が外交官だからか、頭を働かせる方がメインです。
しかし、ここぞという時には男性性の「力」を使います。


この映画の影響で少し男性性について考えてみました。
ちなみに、男性であるからと言って男性性を発揮しているわけではありません。
女性でも、男性性を発揮している人はいるので、性別の話ではないことを断っておきます。
男性性のポジティブ面を挙げると、基盤、安定、安心感、リーダーシップ、包容力、行動力、決断力などではないかと思います。
では、ネガティブ面を挙げると、プライド、傲慢、支配、横暴、臆病あたりでしょうか?


僕は先日コンサートスタッフのアルバイトをしてきましたが、そこではネガティブな男性性による統率がなされていました。
つまり、権威による支配、プライドのぶつかり合い、意地の張り合い。上司による横暴な指示と臆病に脅える部下。
これによって、それぞれに組織立ったセクション間での指示系統に障害が生じ、時間的な余裕があったにも関わらず、深夜までの残業が生じて、スタッフに無理がかかるという悪循環が発生していました。
恐れによる支配と統率、というネガティブな男性性の発揮のされ方の典型と言えます。
学校組織を始め、企業や役所ではまだまだこのような統率が当たり前になされているのではないでしょうか?
家族の中で、父親がまだこういった権威を持っている場合もあれば、逆に母親がこれを担っている場合もあります。


では、男性性のポジティブ面での統率とはどうゆうものでしょうか?
まず、目的ありき。目的の共有。
それに対する合理的な役割分担と自分の役割のみに対する責任感。
組織の上下関係とはあくまで目的に対する役割分担の結果なので、それを踏まえ相手を尊重する謙虚さ。
自分の役割に専念する責任感と、それぞれの役割を尊重する信頼感、それらが伴うことで生まれる目的遂行への自信。
ここまでの基盤があっての安定感と安心感。
と、書いてきましたが、このような組織を僕はまだ見たことがありません。
東日本大震災の時に、伝説的な対応をしたスパリゾートハワイアンズや、ディズニーリゾートではこのような統率のされ方が為されていたのかもしれません。


冒頭の映画の話に戻りますが、主人公の黒田という男は、完璧なまでに目的遂行型であり、誰かと衝突するときも、それはプライドや権威争いからではなく、目的のために計算をした上で行っている節があります。
罠にかかるときも、それによって事態を動かすことを見透かしているようなところもあると思いました。
誰かの権威とぶつかりそうになれば、お互いの目的を確認して、相手の拳の向かう先を変えさせるような対応をします。
やり方がスマート過ぎて、気障と感じる観客もいそうです。
好き嫌いが分かれるところかもしれませんが、僕は好きでした。


ちなみに、この記事のタイトルである「力の使い所」ですが、男性性にはいざという時、有無を言わさず強引に引っ張っていく判断力や決断力、未来(知)に対する勇気や、時に無謀さを求められる場合があります。
事態を打開する時に必要な力です。
この使いどころは、正に窮地に陥った時、力押ししか手段がないときに使うべきだと思います。
そうではない時には、選択を促す、選択を待つ、選択を受け止める、ということも男性性の在り方ではないかと思います。
そういった部分も、この映画から見て取ることができました。
僕にとっては、男性性の教科書のように感じました^^
こうゆうのをハードボイルド、と呼ぶのでしょうかね?
ではっ!